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私も2ヵ月でiPhoneアプリをリリースできました!
『C言語すら知らなかった私がたった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと』という本を読んでから、約2か月間独学で勉強した結果、本当にiPhoneアプリをリリースすることができました。
これから私が実際にどのような過程を経てiPhoneアプリをリリースしたのかを紹介したいと思います。どのような準備をして、2か月間何をしていたのか、できる限り詳しくお伝えできればと思います。
今回の「5つの事前準備」と次回の「20のこと」の2回に分けてご紹介いたします。
その前に…開発したアプリをご紹介します。無料なので是非インストールしてください!
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カテゴリ: 教育, 旅行
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販売元: MIWA KAITO – KAITO MIWA
リリース日: 2011/09/30
どうしても不可欠だった5つの事前準備
最初に私の自己紹介をしますと、大学は文系、プログラム経験は一切なし、もちろんiPhoneアプリ開発に必要なObjective-C、C言語の知識は皆無という身でした。あえて私の持っていたリソースをあげると、iPhoneが好きであることと、バングラデシュが好きであるということでした。
そんな私がバングラデシュに関するiPhoneアプリを0から作るうえで、どうしても必要だった要素を「お金」「時間」「チーム」「軸」「覚悟」という5つのカテゴリーに分けてご紹介します。
お金
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最初に、私が一番懸念していたお金の話をします。
まず、アプリの開発なものはMac(学生・教職員ならMacBookAir:84,000円〜)のみなのですが、Appleストアでアプリをリリースすることを考えるとDeveloper登録(2011年9月現在で年間8,400円)が必要で、リリース前にアプリが実際に動くかチェックするためにiPhone(購入自体は0円~)を所持していることをお勧めします。
私の場合、以前まで愛用していたLet’snoteが壊れるということがあり、その時にMacBookPro(108,000円)を購入しました。MacBookProはアプリ開発とは別の目的で購入したのですが、購入当時にインストールした Keynote(1,700円)とSkitch(無料!)はアプリを制作する上でも重宝しました。
次に、アプリを制作するための情報収集にかかった経費についてです。
基本的にはWeb上に全ての情報が網羅されているかと思いますが、まとまった情報を素早く吸収したい、地下鉄や飛行機(バングラデシュ渡航時)などWebを活用しにくい時間を有効活用したい、という二つの目的で本を何冊か購入しました。
私が購入した本は以下4冊になりますが、いずれもアプリ開発をするうえで役立ちました。
これらに加えて、実際にはバングラデシュでの取材活動経費(航空券代込みで約15万円)、日本での取材や打ち合わせの諸経費(約2万円)程度かかりましたが、この経費はアプリの内容によっては不要かと思いますので、計算から外します。
ということで、今回のアプリ開発にかかった経費は合計約13万円、もしMacとiPhoneをお持ちで、Webでの情報収集のみで何とかできそうという方は、8400円あればアプリ開発&Appleストアリリースに挑戦できます。
時間
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次に、お金と同じくらい懸念していた時間の話をします。合計制作期間はタイトルのとおり約2ヵ月だったのですが、細かく紹介すると一日平均3時間くらいの時間をアプリ開発にかけました。
毎日きちんとログを取っていたわけではないのですが、毎週20時間以上はアプリ開発に時間を費やしました。というのも、毎週初めにその週の予定&仕事の業務量を予想して、あらかじめアプリ開発ができそうな時間を優先して確保し、一週間の合計作業時間が20時間程度になるように調整していたのです。もちろん、計画通りにいかないこともありましたが、そこは土日などの休日を活用して何とか挽回して毎週目標を達成できました。
他に工夫した点は隙間時間の活用です。通勤途中の電車やバスの中では、乗った瞬間から目的の駅に降りるまではできる限りiPhoneの勉強に集中しました。先ほど紹介した本の活用に加え、参考になる記事のブログをiPhoneで見たりしました。また、歩いているときや自転車に乗っているときもアプリのコンセプトやコンテンツを考え、良いアイデアを閃いたらその場でiPhoneにメモを残すようにしました。
今回のアプリ制作を通じて、改めて社会人のプライベートな時間は少ないなと思う一方で、1日3時間、1週間で20時間程度の時間であれば、どんなに忙しい時期でも確保できる自信が持てました。
ということで話をまとめると、今回のアプリ開発に必要だった時間は3時間(1日平均)×60日(約2ヵ月)=180時間程度ではないかと思います。学生の方であれば、1ヵ月以内にアプリをリリースすることも十分可能な時間量かと。
※実際には、今回のアプリ開発に必要な知識習得は最初の4週間(=80時間程度)で終わり、残りはコンテンツを詰めたり、Appleへの申請手続きなどに費やした時間になりますが、最初から難易度の高いAPIを活用したWebサービスとの連携アプリの制作をされるとなると、180時間程度は必要ではないかと思います。
チーム
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この「チーム」は私にとっては不可欠なものですが、一人で全てやりきるという方にとってはあまり参考にならないかもしれないので読み飛ばしていただいて結構です。
これは個々人の性格と関係があるのか思いますが、私の場合チーム戦がとても好きです。辛いときに励ましあえること、嬉しいときに喜びを共有できること、個人では辿り着けないレベルのことも実現できること、などチームを組むメリットは沢山あります。
もちろん意思疎通が大変になったり、役割分担が難しかったりとマイナスの面もありますが、それでも私はアプリが完成したときに「この2か月間最高だったよね!」と笑い合える仲間が欲しくてチームを組みました。
今回のアプリ制作では、合計6人のチームを組みました。ライター2人、プログラマー1人(=私)、デザイナー1人、写真家2人のチームです。このチーム構成は“バングラデシュの「?」を「!」に変える”というアプリのコンセプトが固まった時点で決まったのですが、昨年生まれて初めて雑誌制作をした経験と人脈が大きく役立ちました。
中でも、雑誌制作の際にお世話になったデザイナーと写真家(3名ともバングラデシュ在住)との繋がりが非常に大きく、この繋がりがあったからこそアプリ開発に挑戦しようと踏み切ることができました。
今回私の突然な提案に協力してくれた5名には感謝してもしきれず、アプリが完成した喜びは5倍以上になりました。チームでアプリ開発に挑んで本当に良かったと思いました。
軸
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この「軸」はアプリ開発の途中で躓いたときに不可欠だったものです。
今回のアプリを作るに当たって、壁にぶつかったことが何度もありました。プログラムが上手く動かない、アプリのアイデアやコンテンツが浮かばない、モチベーションが急に下がった、など問題は日々発生しました。
このようなとき、私は以前までWeb上で解決策をよく探していたのですが、誰のどんな情報を信じて良いかわからず、人や情報を選ぶ過程で疲れてしまいがちでした。
そんな反省を活かして、今回は信じるものを一つに決めていました。それが冒頭でも紹介した『C言語すら知らなかった私がたった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと』という本です。
この本の著者である、またよしれい(@Sayobs)さんとは昨年11月に一度お会いしたことがありました。iPhoneが好きという理由で参加した@fujimotta さん主催のiPhoneに振り回されないiPhone活用術セミナー@大阪にいらしていたのです。
セミナー終了後、結局朝までカラオケをしたのですが、カラオケに向かう道中で「2ヵ月でiPhone開発するなんて凄すぎです!」とお話しした際に「熱意と時間さえあれば、みんなできると思うよ!」と答えてくれた言葉が、アプリを制作する途中で苦しかった時の支えになりました。
少しだけ本のことを少し紹介すると、この本はアプリ開発の本であるにも関わらず、アプリを形作るソースコードと呼ばれるものが一切書かれていません。ただ、その代わりにプログラミングに躓いた時の対処法、アイデアを練る方法、モチベーションを保つ方法など、さまざまな工夫が細かく記されています。
だからこそ、今回はWeb上で検索をしたり誰かに質問をしたりすることはせず、この本を唯一の軸にして取り組みました。なお、この本の中では「質問の仕方」についても紹介されていますが、“みんなに「!」してもらいたい”という個人的な願望で、誰にも質問せずアプリのリリースに至りました。
ということで、結果的に『C言語すら知らなかった私がたった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと』という本一冊のみを信じて前に進めば、2ヵ月で本当にアプリができるということを証明できました。@Sayobsさん、素敵な本を書いていただき、本当にありがとうございました!
覚悟
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これは私にとって最も不可欠であった要素です。実際の覚悟の内容を紹介する前に、私が尊敬してやまない“故”杉村太郎氏のメッセージが詰まったiPhoneアプリ(Andoroidでも読める電子書籍:350円)「アツイコトバ」から一部を引用します。
さまざまな場面で、最終的に僕たちを動かしているのは、一言の「アツイコトバ」である
私もその通りだと思っており、今回もアプリを作ろうと誓った日からAppleストアでリリースするまで、ずっと一つのアツイコトバを心の支えにしてきました。それが…
“捨てられない夢なら、捨てるほどの覚悟で”
という言葉です。私が大学受験のために浪人をしていた頃、『ロジカル・リーディング講義の実況中継』という本で有名な英語講師・横山先生からこの言葉を頂きました。ただ、横山先生は「自身で意味は考えるように」とおっしゃり、浪人が終わっても言葉の意味を教えてくれることはありませんでした。なので、もしかしたら先生の解釈とは異なるかもしれませんが、私なりの二つの解釈を紹介します。
■いらないものを「捨てる」
私が思うに、誰にでも無駄な時間は存在します。ただし、ストレスの解消といった「必要な」無駄な時間と、なんとなく使用している「削ることのできる」無駄な時間があり、後者をいかにして削るかが目標達成のカギであると大学受験時代に学びました。
そこで、今回のアプリを開発しようとするに当たってTwitterと自身のブログの更新をほぼ完全にストップし、飲み会への参加も必要最小限にし、新聞を読む時間や駅まで歩く時間、風呂に入る時間など日常の一部で削ることの出来る時間の短縮も図りました。
このように「捨てる」生活を続けることで、上で説明した週20時間という時間の確保に成功しました。
■夢そのものを「捨てる」
もう一つの解釈ですが、「大切な夢そのものを捨てる覚悟で挑む」ことだと私は思っております。
具体例をあげると、私は浪人時代ある大学を目指して猛勉強していました。どうしても行きたい大学だったので、何年かかっても挑戦しようと思っていました。そんなときに、壁に張っていたこの言葉を眺めながら「もし今年の受験で落ちたら諦める、それくらいの気持ちで挑めということでは?」と思いつきました。
それからの勉強意欲は格段に上がりました。「受験に落ちたら?」というプレッシャーに負けそうになる度に、自分にとってその目標がどれほど大切なものであるか再確認できました。肝心の受験の結果は不合格で、やはり悔しさは残って満足はできませんでしたが、それでも夢を捨てる覚悟で挑んだので納得した受験になりました。
今回もアプリ開発に挑むに当たって、「アプリ開発者になる」という夢を捨てる覚悟で挑みました。加えて、「iPhoneが好きだ」という気持ちと「バングラデシュが好きだ」という気持ちも天秤にかけて、もしアプリが完成しなかったら友人たちにMacやiPhoneを譲り、今後バングラデシュという国と関わることを一切やめるという宣言をしていました。
正直、アプリ開発のみを目的にここまでする必要はないと思います。ただ、何かと中途半端な状態で終わってしまいがちな自分を変えるには、やはりそれなりの覚悟をもって挑むべきだと判断しての行動でした。
以上2つの「捨てる」覚悟が今回のアプリを制作する上で、どうしても必要なものでした。しかし、この覚悟がアプリ開発をする上で不可欠なものだとは決して思っていません。
そうではなく、何か大きな目標に挑戦するときは、これまで乗り越えてきた経験とその際に支えとなった人や言葉がやはり必要だと思うのです。それが今回の私にとって“捨てられない夢なら、捨てるほどの覚悟で”というアツイコトバでした。
アツイ コトバ 1.8.0(¥350)
カテゴリ: ブック, エンターテインメント
販売元: DIAMOND, Inc. – Diamond(サイズ: 7.4 MB)
全てのバージョンの評価: (19件の評価)
iPhone/iPadの両方に対応
まとめ
以上が今回のアプリ開発で必要だった5つの要素ですが、まとめると以下のようになります。
お金→約13万円
時間→2カ月(約180時間)
チーム→6人
軸→@Sayobsさんの本
覚悟→捨てられない夢なら、捨てるほどの覚悟で
これらの情報がこれからアプリを開発しようと思っている方、現在アプリ開発の途中で苦しんでいる方のお役にたてば、これ以上になく嬉しいです!
次回は実際にアプリを作ろうと誓った日から、Appleストアにアプリが並ぶまでにした内容を一気にまとめます。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!