「勝つか、負けるか」
そんな白黒が一瞬でつく場面にぶつかったことはありますか?
プロ棋士である羽生善治さんは、将棋の対局の中で常に勝敗を分ける決断を磨き続けてきました。“名人”と呼ばれる勝負師から学ぶ「決断力」を磨く方法を紹介しましょう。
「知識」を「知恵」に
将棋でも仕事でも、常に新しい課題が現れます。過去の事例を参考にするだけでは解けない問題です。
これを突破するには「知恵」のある決断が重要であり、「知識」を「知恵」にする必要があります。過去の事例を覚えるのではなく、そこに自分のアイデアや判断を加えて、実践で使えある武器に変えるのです。
さらに一度完成した「知恵」自体も放っておけばすぐに使えなくなります。時間が経つと「知恵」は「知識」に変化し、それを超える「知恵」が必要となるのです。常に自分を磨き続けなければならない理由はここにあります。
「好き」は「才能」へ
決断する力は一瞬で身に付く力ではありません。習得には長く厳しい実践を繰り返す必要があり、これを乗り切るために一番大切なのは「好き」だという気持ちを忘れないことです。
「好き」なことに打ち込むと集中力が磨かれ、思考力や想像力も養われます。もちろんすぐに結果が出るとは限りませんが、「好き」なことを長時間続けることで大きな基盤ができます。
好きな将棋に対して集中して情熱をそそぎ、その情熱を10年、30年と持続することができることを「才能」と呼ぶのです。
「直感」と「大局」
「将棋の対局は、未知の旅」であると羽生さんは語ります。そこでは沢山の壁にぶつかり、登山中に霧の中で迷うような感覚になるそうです。
この時重要なのは、データや前例に頼らず、自分の力で答えを導き出すことです。常識を疑い、新しいアイデアを生む直観力を磨き続けることで、強い「決断力」が鍛えられます。
そのためにもまずは、念入りな研究と実践を重ねましょう。この繰り返しによって、新しい道を切り開くための土台となる大局観が磨かれるのです。
「決断」には必ずリスクが付き添います。しかし、避けていてはいつまで経っても力は磨かれません。長い時間をかけて、知識を知恵に変えながら、ここぞということきに勇気ある一歩を踏み込む努力を続けましょう。
今回のカギ
今回のカギは、
■情報を「捨てること」を恐れずに!
です。
情報は「選ぶ」ことを前提として考えてしまうものであり、新しいアイデアを生まれることを妨げる原因になります。仕事でも過去の成功が、未来の挑戦を妨げることだってあります。
しかし、情報だけではどうしても越えられない壁がいくつも存在します。そんなときは「捨てること」を恐れずにいきましょう。捨てて大丈夫なものは意外と多いはずです。
決断とは、何かを選ぶことであると同時に、何かを捨てることです。「決断力」を磨くために、まずは、捨てることから始めてみるのはいかがでしょう?