1000001303 Photo by Kaito Miwa
昨日 @fujimotta さんの企画で、『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』の著者である @rashita2 さんを囲む飲み会が大阪で開かれました。本書は約1ヶ月前に出版され、私は即買い、即裁断(自炊)しましたが、今回の飲み会に向けてもう一冊購入しました(サインをいただく予定だったのですが、@wonderderさんや@shanxthanx さんなど、参加された皆さんの話が面白くてすっかり忘れました。。。)
さて、改めて(4度目?)本を読み直してみたんですが、いろいろものの見え方が異なってくるものです。今回は、凄く印象的だった6つのポイントについて、だいぶ主観的にまとめようと思います。
1.情報価値のデフレ、セルフブランドのインフレ
2.セルフブランディングは一日にしてならず
3.過去・現在・未来から見える自分
4.クラウド履歴書としての“ブログ”
5.ソーシャルメディアという拡声器
6.セルフブランディングにより生きてくる「人」
以下、長くなりますが、良かったら最後までおつきあいください。
1.情報価値のデフレ、セルフブランドのインフレ
昨日の飲み会でも出た話ですが、ソーシャルメディアの活性化により、本屋や新聞など、紙を媒体にした出版業界が大きな危機に面しているのでは?と最近強く感じます。
たとえば本はアマゾンで買いますし、ニュースはRSSリーダーを起点としたネットニュースでだいたい事が足りてしまいます。その一方で、ある道の”プロ”と呼ばれる方々のブログは毎日新鮮で魅力的なネタがどんどん生更新され、現在私の大きな情報収入源になっています。
また、『キュレーションの時代』の著者である佐々木俊尚さんは、「コンテンツの時代は終わった」と明言されており、その代わりに情報をまとめたり、編集して”自分だけの”価値を付加して発信できる人(=キュレーター)こそが、これからの王になる、と述べられています。
このキュレーションについてはぜひ別の機会に触れたいですが、とりあえず、一次的な情報の価値がどんどん下がっていく一方で、確立した個人(=セルフブランドを持った人)による発信の価値が上がっているのが、最近の流れであると感じます。
2.セルフブランディングは一日にしてならず
では、そんな確立した「個」になるためには、どうしたら良いのか?これについて本の中では、5つの原則が書かれていました。
・自分で行う
・継続する
・嘘はつかない
・短期的な効果を求めない
・自分だけを目立たせない
これらを見たときに、最初に思い浮かんだのが、『奇跡のリンゴ』の著者の木村さんでした。毎日、コツコツと丁寧にりんごを育てていく。特殊なことはなく、ただやるべきことをずっと行っていく。そんな”素朴”とも言える道の素晴らしさをこの本を読んで思い出しました。
綺麗な花を育てるために、花を直接加工する人はほとんどいません。まずは、花の土台となる根元から育てていくのが常説です。草花をよく観察して(=周りからの声をきちんと汲み取って)肥料や水を与えていく。いきなり綺麗な花を咲かせようとするのではなく、一度枯れそうになっても嘘をつかず、あきらめずにコツコツ育てていく。この地味な作業の積み重ねこそが、最も大切な“根”になるのではないかと思いました。
3.過去・現在・未来から見える自分
上で”根”を鍛える必要性と、その手法は理解できましたが、次に疑問になったのが「どんな花を咲かせるのか?」でした。これに対しても、この本では非常にシンプルな回答が提示されています。
・何をしてきたのか
・今何をしているのか・何ができるのか
・これからどうしたいのか・何がしたいのか
自分が刺激を受けた過去をできる限り振り返る(洗い出す)ことで自身の価値基準を特定し、現在の自分のスキルを仕事や趣味から考える事で長所を発見し、将来どんな人間になりたいかのイメージをできるだけはっきり描く事で自分の歩く道を逆算してみる。
どれも初めて聞いたという事ではないのですが、改めて考えてみると、就職活動のときを除いてほとんど意識してこなかったことです。特に、「今何をしているのか?何ができるのか?」については深く共感できたのですが、自分にとって本当に好きなこと、本当に得意なことをしっかり見極めることはとても重要だと思いました。
就職活動のときに何度も読んだ『さぁ、才能(じぶん)に目覚めよう』でも述べられていましたが、どうしても仕事をしていると自分の弱点や短所が目立ち、それを克服するのに精一杯になってしまいがちです。ただ、それ自体はもちろん悪い事ではないと思いますが、長所(強み)を磨くことにも同等以上の時間をかける必要があることを改めて感じました。セルフブランディングとは、まさに長所を磨くことである、こんなことを思いました。
4.クラウド履歴書としてのブログ
いきなりですが、ここで読者の皆さんに質問です。
まず、状況設定ですが、貴方はある会社の最終面接官で、これまでの選考を勝ち抜いた2人のうち、1人を採用、もう1人を不採用にしなければならなりません。こんなときに、貴方ならどうしますか?さらに、過去の面接評価は同じ程度、ES(エントリーシート)の評価も同様の点数だったとすると、最終面接だけでの判断になるのでしょうか?
確かに、これまでの企業選考ではこれ以外に手段はなかったと思いますが、現在欧米では既に浸透している”ソーシャルリクルーティング”という言葉があるように、Web上で個人の情報の検索が容易にできます。一番シンプルな例で言うと、googleで個人名を検索すれば、何らかの形でヒットする就活生が多いことでしょう。
では、そんな情報の渦から、「個」を見抜く有益な情報はどこにあるのか?逆に言えば、有益な情報を外部に発信する場はどこになるのか?この本の中では、一つの回答として「ブログ」が取り上げらています。以前私がTwitterを半年間辞めていた3つの理由 | Edu Dev.netという記事の中でも書きましたが、Twitterのような単文の発信ではなく、ある一定以上の情報をまとめ、言葉を選び抜いて文章を作ることで、見えてくるその人の特徴というものがあります。言葉の選び方や、リズムからその人を想像することもできます。
この本の中でもブログのことを「履歴書」として紹介しています。なんとも腑に落ちた言葉でしたが、確かに「個」として関心のある事項をまとめた記事こそ、その人の歴史を指し、価値観や未来像にも繋がってきます。成長録ともいえるブログ(または本)を始めとした執筆活動こそが、クラウド履歴書となり、人を惹きつけるのみならず、自分をも惹きつける財産になるではないかと思います。
5.拡声器としてのソーシャルメディア
ここまで、根をつくることの大切さ、花の見つけ方、クラウド履歴書としてのブログの話をしてきました。では、本タイトルでもあるTwitterやFacebookはどんな役割を果たすのでしょうか?
私が非常に参考にしているわかったブログの著者@kankichiさんは、この本の書評の中で「拡声器」という言葉を使っています。これ以上の比喩は思いつかないのですが、あえて生き物で例えると、ミツバチが近いのではないかと思いました。
ある花の花粉(大切な情報)を別の花に運んでいく。そして花粉を受け取った別の花が大きな恩恵を受け、次の花(新しい情報)を生み出していく。この花と花を繋ぐものこそが、TwitterやFacebookではないかと思いました。
いづれにせよ、拡声器であってもミツバチであっても、前提となる花をきちんと定め、継続して根から鍛えていくことこそが、最も重要な事だと私は思いました。
Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング
いつも勉強させていただいております。
6.セルフブランディングにより活きてくる“人”
この本を読んで一番面白かったのは、やはり@rashita2さんご自身がいかにしてセルフブランディングをしたか(この本の執筆に至までの道のり)を物語としてまとめた最後の章であり、その中でも一番共感できたのは以下の部分でした。
個人として生きることができる世界
これは逆の捉え方もできると思っていて、個人としてでしか生きる事ができない、そんな時代が来てもおかしくないという危機感も感じました。
最初の話に戻ると、本を購入しようと思った場合、本の名前さえ分かっていればAmazonでだいたい済みますし、お店でもPC検索して電子カードで支払えば、人と一切会話することなく買い物が終わります。また、オンラインニュースが主流になったら新聞配達の仕事の価値はどんどん低下してしまうでしょう。
これからどんどん機械化、もしくは労働力の安価化(新興国へのアウトソーシング)などが進んでいくと思いますが、そんな環境下で生きてくるものが“人にしかできない”ことです。例えば、本の名前が分からないときにイメージだけから本を探し出したり、誰かにプレゼントするための本を、渡す相手のことをイメージして選んだりするのは、今のところやはり人の方が優れています。
『ハイ・コンセプト』という本の中でも、これからは議論や論理よりも、物語や共感こそがこれから求められてくると書かれていましたが、まさに“人だからこそできるもの”がこれから増々重要になっていくと思います。そしてそんな時代だからこそ、セルフブランディングが必要になってくる、このことを最後の章を通じて再認識しました。
あとがき1:幸せな時代に生まれて
この書評を書いている途中、やはり幸せな時代だと思いました。学生の頃、海外放浪をしていたとき、Kivaという仕組みを知り、個人(の夢)に対して小額投資をする手法を学びました。また、マザーハウスという会社で働くことで、モノへの付加価値としての物語(ストーリー)の大切さを学びました。世界の厳しい現実と、人と人との温かい繋がりをどちらも肌で感じました。
だから、最初はマイセルフブランディングを突き進んでも、最終的には可能性に挑戦できないような人たちに対するユアセルフブランディングの手伝いをしたい、と強く思います。誰もが人らしく生きる事ができるような、世界にひとつだけの花になれるような、そんな時代に少しでも貢献できればと思います。
そういう意味でも、この本はブランディングする意味や、その手法を整理するための非常に参考になりました。@rashita2さん、いつも素敵な情報、本当にありがとうございます!
あとがき2:書評の書き方について
あと備忘録としての情報ですが、このブログの書評も昨日で得た学びを活かして書き方をこれまでと少し変えてみましたつもりです。
すでにある情報をまず整理する(既存の書評を参考にする)
独自に持っている情報との相違点を整理する(引用を使う)
自分の言葉に置き換える(比喩を使う)
こういったことに配慮し、集まった情報を自分だけのものに組み替え、継続的に発信していくことで「公」と「共」の中でいきる「個」ができるのではないかと思いました。
※最後に、この本は@rashita2さんの3冊目の本になりますが、前2冊と非常に関連する本になります。
(私の頭の中のイメージ)
1.Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング
=>なぜ情報を発信する必要があるのか?
2.EVERNOTE「超」仕事術
=>どうやって情報をインプットするのか?
3.EVERNOTE「超」知的生産術
=>どうやって情報をアウトプットするのか?
このような感じで、今回紹介した本は、3冊の本の中でも一冊目にふさわしい本ではないかと思いますので、まだ2と3をお読みでない方は、ぜひ合わせてご購読いただければと思います。
以上、長文お付き合いいただき、ありがとうございました。