奈良の天川、大阪の茨木、京都の嵐山で考えた「変わり続ける」ということ

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「変わり続ける」ことは良いことでしょうか?それとも悪いことでしょうか?

新年早々、まだ馴染まない新生活に不安を覚え、海外出張前の休暇もかねて関西に行ってきました。

大学を卒業して、すぐに移り住んだ関西。全てのことが新しく、不安と興奮に包まれた毎日でした。

あれからもう4年。激動の毎日に心が追いつかず、再びやってきた不安に打ち勝つために、1年半ぶりの関西へ。

行きの夜行バスで、まだほとんど白紙の手帳に一言だけ書きました。

「変わり続けるとは?」

東京に戻ってくるまでに答えを見つけようと誓い、眠りにつきました。

変わり続けるからこそ、変わらないものが美しく見える(奈良・天川)

最初の目的地は奈良。4年前にバングラデシュで出会った友人に会いに行きました。

彼の講演会を手伝うことが主な目的だったのですが、結局2泊して奈良の素敵な場所をいくつも紹介してもらうことに。ずっと行きたかった天川村にも案内してくれました。

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日本の原風景が残る天川村。宝石のように光る雪と、川の底まで見える透明な水に興奮が止まりません。

きっと天川村に暮らす人たちからしたら、これは当たり前の光景なのでしょう。しかし、東京生活に慣れてしまった私から見れば、全てが輝いて見えました。

マイナスイオンたっぷりの川辺で昼食を。緑あふれる森の中で、彼の実家で作っているおにぎりを食べるという、何とも幸せな時間でした。

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ここまで連れてきてくれた彼と、奈良の美しい自然に感謝しながら、そして東京での暮らしにも感謝しながら食事を取りました。

なぜ東京に感謝をしたのか?それは東京の暮らしがあったからこそ、奈良の自然が際立って美しく見えたからです。

変わり続ける環境に身を置いているからこそ、変わらないものの良さが分かるのだと肌で感じたのです。

奈良の天川は、最高の思い出になりました。

「変わり続ける」ことで失うものもある(大阪・茨木)

「そうか、変わり続けることは良いことなんだ」

そう思って大阪に向かいましたが、この考えは180度変わることになります。

2つ目の目的地、大阪の茨木。私が社会人になってはじめて働いたオフィスのある場所です。

いや、正確にはオフィスが「あった」場所でした。私が働いたオフィスは2年前に神戸に移転しており、今は何も残っていません。

駅も変わっていました。大きな改装工事が行われており、よく登った階段をもう登ることはできませんでした。

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他にも出勤前に勉強する時によく使っていたカフェがなくなっていました。ここまで来ると、何だか知らない街に見えてきます。

急に変化が怖くなりました。この改装工事が、茨木の発展に繋がるものだということは頭で理解できたのですが、どうしても心が受け入れてくれないのです。

大阪の茨木は、少し苦い思い出が残ってしまいました。

「変わり続ける」からこそ、今を楽しみたい(京都・嵐山)

「変わり続けることは、本当は怖いことかもしれない」

不安をかかえながら訪れた京都の嵐山。ここが最後の目的地でした。

目的地とはいっても、ただ竹林を歩きたかっただけで、それ以外の目的はあまりありませんでした。

せっかくなのでと、嵐山を歩き回り、気がつけば千光寺という小さなお寺へ。「絶景」という文字の書かれた看板を追い続けたら、千光寺に着きました。

その入り口にこんな張り紙が。般若心経頌という題で「空の心」について書かれてました。

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形あるものは
すべてこわれてゆく
花のように
人のように
楼閣のように
されど
形なきものは
虚空のように
大空のように
いつまでも
こわれることを知らない
形あるすべてを捨てた心
かわり行くすべてを離れた心
それが空の心である
みどりの大空のように

なるほど。茨木の駅と楼閣が重なって、心に重く響きました。

しかし、どこか違和感が残り、モヤモヤを抱えたまま千光寺のある山の頂上を目指します。

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オフシーズンの、そして平日の朝早い時間だったこともあり、千光寺には私と案内の方しかいませんでした。

案内の方から許可をもらい、修行僧たちが座禅をしたという石で禅を組み、これまでを振り返りました。

奈良の天川の美しい原風景。
大阪の茨木で目の当たりにした駅の改装工事。
京都の嵐山で見た般若心経頌の詩。

「空の心」の詩を思い出しながら、自分に問いかけます。

「私は“形あるすべてお捨てた心”を手に入れたいのか?」
「私は“かわり行くすべてを離れた心”を手に入れたいのか?」

答えはハッキリとNOでした。

それが偉人の教えであり、何十年後かに辿り着く境地だとしても、今の自分に必要なものは別にあると思いました。

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大切なのは、変わり続けるものとどう向き合うか?

千光寺を離れ、竹林を歩いている時、ふいに懐かしい言葉を思い出しました。

変わらないものなんてありません。
人の心は、四季よりも早く、そして激しく移り変わります。
だからこそ、人は生きることを楽しむことができるのです。

幼い頃からお世話になっている住職さんから教えてもらった言葉です。

なぜ「だからこそ」なのか、その理由がよく分からなかったのですが、やっと理解できた気がしました。

桜の花が散るのは辛いですし、好きだった人と別れるのも辛いです。

でも、桜の花はまた咲きますし、また人を好きになることもできます。

失敗しても成功するチャンスはありますし、死があるからこそ生の有り難みが分かります。

大切なのは、変わり続けるモノとどう向き合うか。同じように変化し続ける自分自身の心とどう向き合うか。

今の自分に必要なものが見えてきました。

変わり続けるこの瞬間を、もっと楽しむ。
もし今辛かったとしても、未来に向けて楽しく一歩踏み出す。

京都の嵐山は、楽しい思い出になりました。

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今回のカギ

関西に行く時に感じていた不安。それは予想よりも遥かに速く変わっていく身の回りの変化に対するものでした。

しかし、変わり続けること自体に善し悪しはありません。目の前にある景色も自分の心次第で、自由に彩ることができるのです。

関西から戻れば、また戦いの毎日が待っています。大きな失敗することも、下手をしたら仕事を失うことだってあるでしょう。

でも、全て楽しく生きることの一部だと思えば、挑戦も変化も怖いものではありません。

■変わり続けるとは、楽しく生きるためのスパイス

早く東京に帰りたくなりました。

これから待っているであろう山ほどの困難。美味しく調理してみせましょう。

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