私が代表になってはじめてわかったいくつかの大切なこと。または清水さんから学んだこと

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KADOKAWAとドワンゴの経営統合が発表されましたね。

コンテンツ×プラットフォームや、日本のサブカルの海外展開など、想像や妄想は膨らむばかりですが、私がすぐに調べたのは今回の統合ニュース記事ではなく、ドワンゴ川上さんの経営について書かれた以下の記事でした。

株式会社ユビキタスエンターテインメント(UEI)の社長、清水亮さんが2010年に書かれた記事。

もう3年以上前に書かれた記事ですが、定期的にTwitterやFacebookで見かけることがあり、その都度読み返していました。

そしていざ私もNGOの代表になって改めて読んでみると、より一層胸に刺さる学びがありましたので、ぜひ紹介させてください。

※ここでは、清水さんの記事の見出しを引用し、私の経験に沿って内容を加筆していきますので、良かったらぜひ清水さんの記事を合わせてお読みください。

■起業前:「会社を作れば人を雇える」 → 起業後「んなわきゃない」

良い人財を確保するのは難しいです。

そもそもNGOはアーリーステージにおいて人を雇う金はほとんどないもので、私たちも未だにないのですが、そうなると増々良い仲間を探すのが難しくなります。

では、どうすれば良いのか?

今の私の経験からお勧めできる方法があるとしたら、まずは自分がもっと頑張ることです。

何でもできる必要はないですが、何とかする努力はするべきであり、「辛いから」という理由で人を雇うことだけはやはりしたくないです。

仲間を増やすことはもちろん大事ですし、もっと注力して行きたいですが、もし1人になってもやり抜くという覚悟と努力はこれからもずっと持ち続けていこうと思います。

■起業前「雑用は社員の仕事。社長は仕事に集中する」→起業後「社長が一番積極的に雑用をするべき」

ドワンゴ川上さんがゴミ掃除やパシリなど雑用をしていたという話が書かれていましたが、私も社長ができるだけどうでもいい雑用をすべきだと最近強く思います。

理由は単純です。きっと皆やりたくないからです。

もし雑用で仲間のやる気が下がってしまったら、それこそ一番の損失であり、これは何としても避けなければなりません。

特に人手が足りない中、インターンで頑張ってくれている学生には、少しでも多くの時間を仕事に傾けて欲しいと思っており、面倒くさいことや、やりたくないことは積極的にもらっていくつもりです。

■起業前「社長の命令は絶対だ」→起業後「んなわけない」

「命令」と「相談」は違います。

特に海外で働いている仲間に対して何かコメントをするときは、命令にならないように凄く気をつけます。

だってそうでしょう。現場のことは現場にいる人間が一番分かっていることであり、彼らより正しい結論を出せる保証なんてどこにもありません。

だから、やはりアドバイスは「相談」なのです。自分が思っていることや知っていることをシェアした上で、最終的な判断は2人で、もしくは現地にいる仲間に任せるよう心がけています。

■起業前「会社を作る理由はなんでもいいや」→起業後「会社には存在理由と理念が不可欠だ」

「企業理念」は必要か?

これまで私たちNGO内部でも随分と議論されてきましたが、やっぱり必要でしょう。

創業者1人、もしくは2〜3人程度の状態なら良いです。阿吽の呼吸と言いますか、心の底で繋がっているような信頼関係があれば、滅多に崩れることはないでしょう。

しかし、これが5人、10人と人数が増えてくると話は別です。当然意見の食い違いはありますし、目指すビジョンも微妙にズレてきます。

だから、やはり「言葉」が大切なのです。

志を立てて、もって万事の源となす

これは大好きな吉田松陰の言葉なのですが、言葉のない思想はただの主観であり、磨き抜かれた言葉こそが世界を変える指針になると信じています。

■起業前「社長の仕事は金を稼ぐことだ」→起業後「社長の仕事は夢を与え、現実にし続けることだ」

NGOは民間会社と比べて「儲からない」ことで有名です。

私も先輩NGO経営者の話を伺い、実際に経営者という立場になり、NGOの収益化の難しさや給料の低さなど、見たくなかった現実を否応なく突きつけられました。

ただ、少し誤解していたのは、給料以上の別の価値が存在してたことです。「やりがい」や「目標実現」など他者への貢献度という価値もありますが、「好きな仲間と好きなことができる」という新しい価値も発見しました。

今のチームは、いつも笑顔が溢れています。志同じ仲間と力を合わせて、どうしても解決したい課題に挑戦できるのは、笑顔が止まらないくらい楽しいものでした。

夢に真っすぐ走ることができていれば、人はそれだけで笑顔になります。だからこそ、私は代表として「夢を実現すること」を仕事に変え続けていくつもりです。

■起業前「社長はカッコイイ」→起業後「カッコイイのは一流の社長だけで、殆どの社長はカッコわるい」

「カッコイイ」って何でしょう?

メディアに出ることでしょうか?そもそも誰に思ってもらうものなのでしょうか?

これは意見が分かれそうですが、私は(一般の人たちからではなく)身近な人からカッコイイと思われる人ほど一流の経営者なのだと最近よく思います。

逆に言えば、メディアに出ているような経営者であっても、従業員や関係者から不満批判が出ているような方はやはり尊敬できないし、絶対そうはなりたくありません。

一番近くにいる人から一番尊敬してもらえるような経営者をこれからも目指していきます。

■起業前「社長の敵は商売敵だ」→起業後「社長の最大の敵は幸福感だ」

これは激しく同感です。

事実、大好きな仲間と大好きなことができている今はとても幸せであり、ずっと今の状態を維持したいと思ってしまうことがあります。

ただ、やっぱりダメなんです。現に問題は常に増え続けており、そこに目を向けると、絶望したくなるくらいの距離や壁があります。

超えても超えても立ちはだかる壁にどこまで挑戦できるか。怒りにも近い闘志があって、はじめて事業の規模は拡大し、問題は少しだけ解決へと向かいます。

嬉しさと悔しさの上手くバランスを取りながら、目標達成に向かって貪欲に走っていきたいです。

■まとめ

手紙の返信を書くように、私なりの経営論を書いてみましたが、正直納得のいく言葉が書けませんでした。

それはやはり経験が足りないからでしょう。今回引用した記事を清水さんが書かれたのは社長8年目の時。私の何倍も経営の経験があっての言葉になり、それと比べると遥かに薄っぺらいです。

一説によると、会社は5年で50%が倒産し、10年で90%が倒産するのだという。つまり10年後の生存率は10%だ。

これも清水さんの記事からの引用ですが、5年間続いた組織であっても、そのうち8割は次の5年間で倒産する計算です。それを考えれば、私たちNGOは本当にまだスタートラインを切った程度でしかありません。

ただ、一つ言えるのはやっぱりやってみないと分からなかったということです。

3年前に清水さんの記事を読んだ時分からなかったことが少しずつですが分かるようになってきました。きっとあと5年したら分かることが(もしくは違うと思うことも)もっと増えることでしょう。

そのためにも、やはり「続け切る」ことを大切に、上に書いた一つ一つのことを実践していけたらと思います。

@3_wa

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