留学生24人のママが歌う理由ーーシンガーソングライター玉城ちはるさんの『風になれば』を読んで。

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昨日お会いしたシンガーソングライターの玉城ちはるさん。

数多くのステージを重ねながら、ホストマザーとして、海外留学生とともに暮らす日々を続けてきた方です。

そんなちはるさんの、ありのままの気持ちが書かれたエッセイ集『風になれば』についてご紹介します。

延べ24人の留学生のママ

ちはるさんは「ママ」と呼ばれています。

実の子供ではありません。一緒に暮らしてきた24人の留学生から「ママ」と呼ばれています。

はじめて一緒に暮らした女の子は中国から来た19歳の女の子。マッサージの仕事をするために日本に来ており、住む家がなくて困っている彼女と出会って「それなら私の家にしばらくいればいい」と答えました。

約1ヶ月後、彼女が帰国することになり、共同生活は終わりを迎えました。彼女に手紙を書きたくて、中国語の先生を捜している中で、ちはるさんは新しい問題を発見します。

それは彼女だけでなく、多くの留学生が家を探すのに本当に苦労していることでした。日本が大好きで、やっとの想いで日本にやってきた学生であっても・・・。

「すべてが良かったわけではないけど、それでも日本に来て良かった。本当に楽しかった。そう感じながら国に帰ってもらいたい」

そして2006年から本格的にホストマザーとして留学生の受け入れを始めました。途中から、海外の留学生のみならず、厳しい環境におかれていた日本の学生も受け入れるようになりました。

ママは歌う人

ちはるさんの本業はシンガーソングライター。ライブを開き、TVやラジオに出演しながら「ママ」を続けました。家事や洗濯は当たり前。芸能生活をしているにも関わらず、何年もネイルケアをしたことはありませんでした。

ある日、洗濯をしている「ママ」を見て、息子達が他の子どもたちに洗濯を手伝うよう、こんなことを言ったそうです。

「ママは歌う人!僕らのトランクスを洗う人じゃない!」

もちろんちはるさんは「ママ」を辞めることはありませんでした。8年間、延べ24人の子どもたちと共に暮らしながら、歌い続けたのです。

『私は生きている』

本書『風になれば』では、ちはるさんのライフストーリーと、そこから生まれた詩が一つ一つ紹介されています。

その中でも、特に胸に響いたのが『私は生きている』という詩。この詩はちはるさんの「ママ」としての生き方が描かれたものでした。

留学生との共同生活の中で、楽しさよりも苦痛が増えてきたある日のこと。ストレスや不安が溜まり、ある日留学生とケンカして「ママは最低だ」と言われ、ちはるさんの中で何かがはじけました。

「後悔のない人生=完璧な人生、なんてことはない!」

生きている以上、いくらでも苦しみはやってきます。夢は叶わないこともありますし、失敗することだってあります。それでも、今を楽しむことができないわけはありません。

「生きることは苦しい、それでも生きる」

ちはるさんは、こんな想いを込めて『私は生きている』という詩を書きました。

私は生きている
(作詞:玉城ちはる&入倉都、作曲:入倉都)

「生まれてこなければよかった」こんな事思ってはいけませんか?
生きるのは苦しい
愛すると悲しい
夢見たら辛い
笑うなんてできない

「そうだね」あなたはうなづいて 震える体を抱き寄せた
生きるのはうれしい
愛するとあったかい
夢見たら楽しい
笑いあう 喜び

胸が熱くなって涙が溢れてくる
思いきり深呼吸 私は生きてる

生きるのはうれしい
愛するとあったかい
夢見たら楽しい
笑いあう 喜び

私は生きてる

Youtubeでライブ映像が公開されているので、ぜひ合わせてご覧下さい。


[永田ジョージ&玉城ちはる 「私は生きてる」 – YouTube]

『風になれば』では、他にもたくさんのエピソードと詩が紹介されています。読むだけで温かい気持ちになれる一冊。生きることに悩んでいる皆さんに、ぜひ手に取って欲しい本です。

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