赤ちゃんはどうやって言葉を身に付けたのでしょう?
もちろん赤ちゃんの頃の記憶が全てある人はいませんから、思い出すことは不可能です。
しかし、現代科学の力があれば全てを記録することができます。
この発想から膨大な実験に挑んだMIT研究員のデブ・ロイ氏の研究結果をお伝えしましょう。
25万時間のホームビデオ
ロイ氏は2つの目的のために、自分の赤ちゃんの生活を3年間撮影しました。
各部屋にカメラとマイクを設置し、3年間、毎日10時間赤ちゃんの成長の記録を残し続けました。
合計25万時間のホームビデオ、これが研究素材です。
言語習得の過程
1つ目の実験目的は、言語習得の過程と周りの環境変化を調べることでした。
場所・時間・言語をすべて記録したビデオには、700万語を超える言葉とその周辺環境のデータが詰まっていました。
実験の結果、赤ちゃんと大人たちは、お互い学びあって言語のレベルを上げていくことがわかりました。他にも、言語の習得には場所や時間との関係性が非常に強いことも分かりました。
この観察方法と分析手段はマスメディア解析にも解析できます。リアルタイムにメディアと個人と反応(SNS)の繋がりを解析することで、社会の構造を俯瞰することができるのです。
もう一つの目的
実験のもう一つの目的は「思い出」です。
初めて自分が立った時のことなど生物学的には絶対記憶できないことを記録し、過去に戻って追体験できると話すロイ氏。
過去の記録を見れば、心の思い出に触れ、新しい発見も生まれるでしょう。
新しい機材ではなく、新しい方法によって、今まで見えなかった世界を切り開いていく。これが大成功を収めたロイ氏の研究の核だったのです。
【感想】究極のライフログ
現在「ライフログ」という言葉が流行っているように、「記録」の価値が高まっています。
過去を振り返り、未来を楽しくするための記録。そんな記録を加速させたのがスマートフォン。かつては不可能だった記録が今は片手で簡単にできます。
記録により、これからもっと新しい未来が開かれていくだろうとワクワクしてきました。
動画情報
約20分の動画です。日本語字幕もありますので、ぜひご覧くださいませ。
デブ・ロイ「初めて言えた時」
Deb Roy: The birth of a word
※iPhone/Android等スマートフォンからはこちらの動画をご覧ください↓
[1分TED]について
「TEDを見たいけど、英語が苦手。」
「10分は少し長い、見る時間がない。」
そんな声から、1分間で動画の魅力がわかるTED紹介、略して[1分TED]は始まりました。この記事を読んで、少しでもTEDの楽しさや面白さが沢山の人に伝わればと思っています。
NHKでも毎週月曜、夜11時から放送されていますので、ぜひご覧いませ。
スーパープレゼンテーション|Eテレ NHKオンラインそれでは、これからも楽しいTEDライフを!
@3_wa