起業家志望の大学生にぜひ身につけて欲しい「とことん事前に調べる力」

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Study harder before interviews

先日「大学中退して起業します!」という記事が話題になりました。

4ヶ月で大学を中退し起業します。レールに沿ったつまらない人生はもう嫌だ。 – いしだの話

数日経って、そんな起業家志望の学生と実際にランチをしたnanapiのけんすうさんの記事がまた話題になりました。

起業家志望の石田さんと話してみた時のメモ|けんすう|note

私も一組織の代表になってから、毎年数百人という大学生と会話しており、2つの記事を読みながら、感じることがあったのでブログにまとめてみます。

若者の挑戦は素晴らしいし、応援したい!

まずはじめに、起業宣言をした石田さんは率直に凄いなと思います。

夢がぼんやりとしていたとしても、具体的な起業アイデアが固まっていなくても、実際に一歩を踏み出し、行動に移したのであれば、それだけで十分応援したくなります。

大学中退について賛成というわけではありません。社会人になってからも大学生活の中で得た人脈や経験が、さらに言えば大学卒業という肩書きが今も役立っている身としては、休学という選択肢でも良かったのではないかと思います。

ただ、自分のやりたいことを実現するために退路を断とうと考え、言葉にすることで起業する決心を固めたのであれば、やっぱり素直に応援したくなります。

起業に失敗したっていいでしょう。それは次の挑戦につながる財産になりますし、いつか同じ道を進もうとする後輩たちにアドバイスできる知恵にもなります。

大学にもう一度戻ることだってできます。30歳や40歳になってから大学に通い始める人もいるくらいですから、遅すぎることなんてありません。大学をストレートに卒業しなきゃいけないルールなんて元々ありません。

それよりも、他人と違う道を進むことを恐れなかったこと、ネットコメントをはじめとした逆風の痛さを感じたこと、その中にも温かいエールを送ってくれた人たちがいること、これだけのことを18歳に学べたのであれば、もう十分すぎるくらいの収穫だと思います。

ぜひこのまま、自分のやりたいと思ったことを、全力で形にして欲しいです。

それでも「惜しいな」と思ってしまった

ただ、先ほど紹介したnanapiのけんすうさんのブログを見て、「惜しいな」と思ってしまいました。

前提として、けんすうさんは、こんな意識で石田さんとランチされたそうです。

– 若い人には、なるべくその人のためになるような真摯な対応を心がける
– 特に20歳未満の場合は、遠回しではなくて率直に伝える
– 僕の言っていることが正しいかどうかはわからないけど、できるかぎり素直に伝える
– 先輩と後輩みたいな立場になるとえらそうになってしまうけど、それはもう仕方ない・・・

「率直に伝える」「素直に伝える」とサラッと書かれていますが、これはとても難しいです。相手を傷つけてしまうかもしれないし、悪い印象を持たれるかもしれません。

実際、もしも石田さんと同じように大学生の立場で、けんすうさんのブログに書かれているアドバイスを見ると、厳しい言葉に見えるかもしれませんが、どれも的確で非常に参考になるメッセージばかりだと思います。

逆に相談をよく受ける身としては、対応の仕方も、その内容も参考になりました。「率直に、素直に伝える」はできる限り、これから実践していこうと思いました。

さて、そんなけんすうさんのブログの最後には、全体に対するコメントも書かれています。

– 今はネットでの本でも起業に関するいろいろないい情報があるので、そのあたりをガッツリと調べてからやると不安はないかも
– 頭の中とかだけで事業の話をしてもほとんどが無駄なので、実際に手を動かしてみるといいのではないかな

2点目のポイントはよく分かります。手を動かして、実際に起業した後で相談したら、その内容は大きく変わったでしょう。

ただ、なんとなくですが、手を動かす重要さは石田さん本人も分かっていたんじゃないかと。それでも、いざ手を動かして失敗するリスクを少しでも減らしたいから、先輩起業家の話をすぐ聞きに来たんじゃないかと勝手に想像します。

ブログを書き、けんすうさんにアポを取って、すぐ会いに行くスピードや突破力は十分立派です。大人が真似しようとしたって、できることじゃありません。

でも、だからこそ、やっぱり「惜しいな」と思ってしまうのは、1点目のポイントである「ガッツリと調べてからやると不安はないかも」は、起業家志望である学生ほど見落としやすいポイントで、それこそが失敗するかしないかの分岐点だったりするからです。

本当に、その人にしか聞けないことなの?

ここで少し私の話を紹介します。

私は現在e-EducationというNPOの代表をしていて、「国際協力」や「社会起業」といったテーマでよく講演会や講義をしています。

特に大学でお話しさせてもらう機会が多く、話が終わった後はよく学生から質問を受けます。そして、定期的にこんな質問をもらいます。

「起業したいんですが、何から始めたらいいでしょう?」
「起業するためのお金って、どうやって集めたらいいですか?」
「学生団体からNPOになりたいんですが、その方法が分かりません」

私の話をはじめて聞いた学生の質問であれば理解できます。ただ、こんな前置きがあったらどうでしょう?

「ずっと起業しようと思っていて」
「以前からe-Educationの活動を知っていて」
「三輪さんにずっとお会いしたいと思っていて」

どれも嬉しい言葉ですし、応援したいなという気持ちにもなるんですが、前置きの言葉と、次に続く言葉とのギャップで、毎回同じことを思ってしまいます。

「もう少し事前に調べてきても良かったのでは?」

経験や実績の浅い私に対してであれば良いですが、滅多に会えない起業家や経営者に対して質問する際は、ネットなどを調べても分からないor見つからない、ぜひその人にしか聞けない質問をしましょう。

起業家を目指している人ならいつも心がけて欲しいですし、就活でOB訪問している学生にも同じことが言えます。相手のことや会社のことを事前にとことん調べて、質問一つ一つ念入りに準備して欲しいです。

なんでこんなことを言うのかというと、相手に対して敬意を払う・質問の時間を無駄にしない、といったこともありますが、それ以上に相手に自分を覚えてもらえることが非常に大きなメリットだからです。

就活のOB訪問を例にすると、毎年何十人と相談を受けると、どうしても質問が似てきてしまい、残念ながら当日の会話が心に深く残ることはありません。別に相手に名前を覚えてもらうことが全てだというわけではありませんが、出会いが未来に繋がらないのはやっぱり「惜しいな」と思ってしまいます。

一瞬の出会いをチャンスに変えるためにも、事前にガッツリ調べることは、ぜひ今から実践してみて欲しいです。

答えは現場だけでなく、ネットにあることも

事前にガッツリ調べるメリットはまだまだあります。その中でも大きなメリットは先輩の失敗を追体験することができることじゃないかと、最近よく思います。

例えば、nanapiのけんすうさんは以前「ポイミ!」というポエムや詩の投稿サイトを運営されていました。でも、結果は失敗だったそうで、その理由は個人ブログで丁寧に説明されています。

この記事だけではありません。

ネットで炎上した際にどう気持ちを整理したらいいか?もし大学生に戻ったとしたら、どういう人生を選ぶのか?サービス(nanapi)を作る上で心がけたことは?実際に起業したけど早速資金難になった時にどう対処したらいいか?

これらの質問に対する答えは、けんすうさんが全てブログ記事にされています。

さらに、nanapiを立ち上げた際の企画書や、3億円以上の資金調達をした際に作成した事業計画書は、どちらもネット上で公開されています。

ここまで読み込めば、起業のイメージも、具体的な計画もかなり磨かれることでしょう。そして、実際にお会いした際の質問内容もかなり濃いものになるはずです。

事前にガッツリ調べることで、聞きたかった質問の答えにたどり着き、その先の質問に出会うこともできるんです。

もしも、私がけんすうさんに会えるなら

私はNPOの代表であり、けんすうさんのように株式会社の経営者とは少々畑違いではありますが、それでも、もしお会いできる機会があるなら、例えばこんな準備をすると思います。

①経歴をざっくり調べる

「けんすう 経歴」「古川 健介 プロフィール」などと検索すれば、ざっくりした経歴を簡単に調べることができます。例えば、Google検索1画面〜2画面を見るだけで、以下のような履歴であることが分かりました。

古川 健介 氏
Supership株式会社 取締役 1981年6月2日生まれ。2000年に学生コミュニティであるミルクカフェを立ち上げ、月間1000万pvに成長させる。2004年、レンタル掲示板を運営する株式会社メディアクリップの代表取締役社長に就任。翌年、株式会社ライブドアにしたらばJBBSを事業譲渡。2006年、株式会社リクルートに入社、事業開発室にて新規事業立ち上げを担当。2009年6月リクルートを退職し、ハウツーサイト「nanapi」を運営する株式会社ロケットスタート(のちに株式会社nanapiへ社名変更)代表取締役に就任。2014年10月、nanapiがKDDI株式会社の連結子会社になる。会社合併により、2015年11月よりSupership株式会社取締役

これはSchooの講師プロフィールからの引用になりますが、最近開かれた(開かれる予定の)イベントや講演会の登壇者情報を調べると、その人の経歴を素早く掴むことができます。

他にもこんな記事が目にとまりました。経歴やプロフィールを調べるのは、この程度で十分かと。

②代表的なインタビュー記事をチェックする

けんすうさんくらい有名な方だと、検索してヒットする記事が多くて少し困りますが、「けんすう インタビュー」などで検索上位にきた記事はある程度目を通します。

時間があれば全ての記事に目を通したいところですが、インタビュー記事が多すぎるという場合は、タイトルを見て気になった記事を優先して読み込みましょう。例えば、こんな記事でしょうか?

ネットインタビューを調べる時の留意点として、記事が公開された日時は確認したほうが良いです。どんなに素晴らしい経営者や起業家であっても(あの坂本龍馬であっても)、考え方や想いは変化しますので、いつ公開された記事なのかはぜひチェックしましょう

③講演会の動画(&文字起こし)をチェックする

けんすうさんのように沢山の講演会やイベントに登壇されている方であれば、生の声を聞くことも可能です。Youtubeで検索しても数本ヒットしますし、先ほど紹介したSchooではけんすうさんの講義を無料で見ることもできます。

動画を見ると、事前に人柄や声色を把握することができ、当日お会いした時の緊張も少しは解けるでしょう(逆に緊張するかもしれませんが)。これはぜひ実践してみてください!

上で紹介した「ログミー」は文字起こしのサイトであり、正確に言うと動画サイトではないのですが、イベントや講演会の内容を自分のペースで確認するにはとても役立ちます

④著書をチェックする

お金に余裕があれば、ぜひ著書を購読しましょう。Amazonだと数件引っかかり、いずれも10年近く前の著書で情報は古いですが、けんすうさんが10年前(25〜26歳?)に何を考えていたのか知ることができるでしょう。

⑤個人ブログを調べる

あとは時間の許す限り、個人ブログを読み込みます。けんすうさんであれば、livedoorブログ→Medium→noteと様々なサービスを使ってブログを更新されており、どれも参考になる記事ばかりです。

⑥TwitterやFacebookを調べる(当日直前に)

お会いする当日、できればSNSをチェックして、事前に何をされていたのか確認しましょう。Twitterなら誰でも確認できますし、Facebookでも投稿を一般公開されている経営者の方もいらっしゃいます。

お会いした時の話のネタになるかもしれませんし、その日どんなに忙しかったかチェックすることもできますので、少しでも調べておくと良いでしょう。

まとめ

少しやりすぎだと思うかもしれませんが、年に数人程度、これと同じかそれ以上、徹底的に調べこんで私に質問してきてくれる大学生が(高校生も!)います。

2年以上前に一度しかあったことのない学生さんでも、いまだにハッキリ覚えていますし、いつか一緒に事業を作りたいと今も本気で思っています(九州大学のM君、いつでも連絡待っています!)

「事前に調べる」

とても小さなことに聞こえるかもしれませんが、一瞬の出会いを大きなチャンスに変える凄い力があります。

起業家志望の大学生をはじめとした読者皆さん、騙されたと思ってぜひ実践してみてください!

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