バングラデシュ渡航期⑤ 磨

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20100127「熟」

熟(20100127)

懐かしい味がした。
“パッタイ(タイ風やきそば)”だった。

工場で夕方まで働いた後、
先日お世話になったJICAの方々から夕飯の招待を頂いた。

動物園・・・
とは言いすぎかもしれないが、
大使館(省庁より出向)、専門家、調整員、JICE、と、
国際協力で名が通る機関の方々が集まっての食事会(送別会)で、
普段見ない動物が一か所に集まる動物園のような光景だった。

10年後、20年後の自身の姿と、
これから飛び込む世界を想い浮かべながら、
パクチーのよく効いたタイ料理を頂く。

大学で見知らぬ人と飲み会を開くと、
「どこ出身?」「僕、静岡です」「俺は栃木だよ」のようなやりとりになるが、
この食事会では
「前の勤務先どこ?」「僕、PNG(パプアニューギニア)です」「俺はザンビアだよ」
となかなか耳にしない国名が飛び交う。

10分に一度は知らない単語を耳にする会話は実に面白く、
料理を食べるのを忘れてしまうほどだった。
でも、尊敬と感謝の心でお腹は十分に満たされた。

ここバングラに来て、尊敬と感謝の連続だが、
今日、所用でバングラからネパールに旅立たれたIさんには、
この10日間非常にお世話になり、日々尊敬の念が増している。

平均年齢が30を下回るベンチャーで唯一60歳近くのIさんは、
1年の半分以上を現地の工場勤務に費やしてくれている。

尊敬すべきは、その行動力と偏見のない謙虚な態度。
誰よりも早く工場に行き、夜遅くまで文句ひとつ言わずに働き続ける姿勢。
僕のような若造に対しても、現地工員に対しても心を開き、笑いが絶えない会話。
なかなか相応しい言葉が見つからないが、
人間として熟された方だと感じた。

恥ずかしいくらい未熟な自分。
ただ、代わりに失うものも少ない。
捨てられる旅の恥はどんどんかいて、
一個一個しっかり吸収してこう。
(※手始めに料理の残り物は全部貰ってきましたw)

 

磨(20100128)

20100128「磨」

この日は一日工場で働いた。

担当する作業の効率が上がり、
ようやく工員の人たちと簡単な会話ができるようになったことで、
仕事がさらに楽しくなりつつある。

それにしても、
工員たちの頑張りには本当に驚かされる。
仕事のスピードやその精度はもちろんのこと、
朝早く来て夜遅くまで継続してテキパキと働く彼らの勤勉さは、
本当に学ぶべきことが多い。

ここに来てから本当に勉強の毎日だが、
この日も大きな学びがあった。

昨日お食事をした方々からの返信を頂いたメールに胸が躍った。

「バッグ持ってます」
「入谷に行きました」
「応援してます」
「協力できることがあれば何でも言って下さい」

先日のお食事でインターンのことを簡単に紹介した時、
ほぼ全員の方がマザーハウスのことをご存じだった。
これは嬉しかったと同時に、驚きでもあった。

民間企業と国際協力機関との関係。
お互いが違う役割を担い、時に対立することもある。
ただ、同じ理念(想い)のもとに活動する時、
そこに信頼・協調の関係が生まれる。

自分たちにできないことを他の人(組織)が担う。
全体として、ある目的(途上国の可能性の開花)に向かって進んでいる。
だからこそ、認め合い、尊敬し合える。

こんな簡単なことに改めて気付かされる。
もちろん、それでも足りない部分はあり、
他の人(組織)の悪いところが見えることは多々ある。

ただ、そこからは“自分次第”で、
ここバングラでお会いした人たちは、
物事のマイナスの側面は理解しつつも、
プラスの側面をしっかり見据える、
笑顔が似合う素敵な方々だった。

大学一年の頃、法学部の授業で、
“一つのものごとには複数の側面が存在する”
と教わり、ペンが止めて考えたことを今でも覚えている。

中国で見たどこかのお経でも、
「諸法実相」「十如是」という言葉があり、
“あらゆるものの真実の姿”には“このような10の側面がある”という意味だそうだ。

良い側面もあれば、悪い側面もある。

この国に来て、「正しいこと」が何なのか、
日に日に分からなくなる今日この頃。

初めての国、初めての人(組織)に対しては、
どうしても身構えてしまう自分。
他人を卑下する前に、次第である自分に還らねば。

世界が少しでも楽しくなるよう、
自分の目と心をこれから磨いていこう。

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thumnail.005