「夏は好きですか?」「好きです。今度も嘘じゃないです。」

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Farewell, Summer Sun
flickr.comFarewell, Summer Sun Photo by Eivind K. Døvik

夏至。一年で一番昼が長い日。一年で一番太陽を長く感じることができる日。今年も例年通りに夏至は訪れました。いつも通りの朝と一緒に。

太陽の塔が見える坂道を一気に自転車で駆け上がる。本当に太陽が少し近く感じるような暑さに堪えながら、自転車のペダルを漕ぐ。これが私の一日の始まりです。いつもと変わらない道。坂を登るとすぐに太陽の塔が見え、万博公園の外周をモノレール線路沿いに進んでいきます。少しでも暑さを回避できるようにと、線路の影で作られた黒い道を通るのですが、一か月前に通った道と随分ずれていることに気がつきました。いつもと変わらない道の、少しずつだけど変化していく時間の流れ。これが、夏至を意識したきっかけでした。

夏至が来ると、いつも夏の始まりを感じます。おそらく高校野球の夏の大会の(ベンチ入り)メンバー発表の時期であることが一番大きな理由であるかと思いますが、野球から離れた今でも、夏至がくるとやはり夏の始まりを感じます。

 

ここで質問ですが、夏は好きですか?

Heat (Explore)
flickr.comHeat (Explore) Photo by MustangSheila

「私は、好きです。」と言うと、ここで文章が終わってしまう気がするので、敢えて嫌いなところを吐き出します。

まず、汗が止まらない暑さはやっぱり嫌です。職場に着いてからも汗がひくまで仕事に集中して取り掛かかれませんし、洗濯やクリーニングの手間が増えるのも嫌いです。また、出費が増えるのも嫌です。私は冷房を使わない方ですが、それでも扇風機をはじめ家電製品の使用度は上がますし、冷たい飲み物をはじめ小さな出費が増えます。

それに加えて、夏は嫌な思い出が沢山あります。大学一年の時は、先輩と一緒に会社を設立したものの、直ぐに大失敗を犯して多くの人に迷惑をかけました。大学三年の時は、インドで信じられないほどお腹を壊しました。2日間部屋から出ず、一日の半分以上の時間をトイレで過ごしました。

その中でも一番辛かったのは、野球に夢中だった高校3年の夏でした。最後の大会を目の前にした最後の練習試合。初回に大きな失点をしたものの、そこから徐々に巻き返して残り一点差まで詰め寄り、そして終盤に逆転のチャンスが訪れました。2アウト2・3塁。私はこの時2塁走者でした。

グランドに響く乾いた快音。自分の左側をボールがライナーで通過していくのを横目で確認しながら、心の中で「良し!」とつぶやきました。弧を描くように身体を左に倒して三塁ベースを踏み、三塁コーチャーの大好きなガラガラ声と身体全身を使って大きく回す手を確認しながら、その手に合わせるように私も一気に足を回転させました。

02/28/11 - LSU Baseball v. Holy Cross3
flickr.com02/28/11 – LSU Baseball v. Holy Cross3 Photo by emilykslack

そしてクロスプレー。少し右側に寄っていたキャッチャーのブロックを避けるために、左手からスライディングしようとしたところ、センターからの逸れた返球を取るために飛び込んできたキャッチャーと思いきり接触しました。私の右足と防具のついたキャッチャーの左足が激突しました。あまりの激痛に意識を失いそうになりましたが、勝ちたい思い一心でホームベースに何とかタッチしました。審判の「セーフ!」というコールで激痛よりも大きな達成感を感じました。そして、仲間の待つベンチに戻ろうと立ち上がろうとした時に、大きな異変につきました。足が全く、動きませんでした…。

直感で分かりました。試合に出ることはおろか、当分歩くことすらできないであろうことに。仲間に達担架で運ばれてグランドを去るときに、いきなり涙が出てきました。「大丈夫だから!」といつもの笑顔で励ましてくれた親友の言葉で、涙が加速しました。私を病院へ運ぶ親の目に涙がうっすら浮かんでいるのを見て、口からも涙が出てきました。高校生活3年間の中で、最も涙した一日になりました。

 

それでも、やっぱり夏が好きです。

S U M M E R . W I L L . C O M E
flickr.comS U M M E R . W I L L . C O M E Photo by { Kris }

ただ、結論から言ってしまえば、高校3年の夏は最高でした。足を壊してから、チームメイトの優しさが痛いほど分かりました。監督も、コーチも、野球部ではないクラスの皆も誰ひとり憐れんだりせず、諦めろとも言いませんでした。松葉杖で歩きながら背番号を監督からもらったとき、皆から「おめでとう」と温かい笑顔で拍手されました。

だからこそ、それから自分にできることをとにかく探しました。水泳部や水球部の皆に頭を下げ、特別にプールでリハビリを行いました。それ以外にも、ボール磨きやグランド整備、打撃練習の補助やノックの際の指示出しなど、チームが少しでも前に進むようにできる限りのことをしました。

そして夏の大会の最後の試合の最後の回。私は三塁手として試合に出場しました。時間にして10分もありませんでしたが、これほど幸せな時間はありませんでした。高校三年間野球続けてきて良かったと心の底から思いました。

No pain, No gain. No Rain, No Rainbow.

これは最近大切な人からもらったとても大事な言葉ですが、本当にその通りだと思います。
痛かったからこそ得るものがって、辛かったからこそ喜びが大きくなる。
高校時代、怪我をしたからこそ、一番大切なことに気がつきました。
大学時代、失敗をしかたらこそ、学ぶことがありました。
恥をかいたからこそ、一生の思い出ができました。

だから、やっぱり私は夏が好きです。
嫌なことがあるからこそ、色んな躓きがあるからこそ、大好きです。

 

今年も「最高の夏」にしませんか?

trying to channel some summer sun
flickr.comtrying to channel some summer sun Photo by derbyq

以前少し触れましたが、最近非常に辛い別れがいくつもありました。ただ、そのおかげで、周りの人たち(特に後輩たち)の温かさに気づきましたし、自分にとって一番大切なものがハッキリしてきました。だからといって、別れの辛さが消える訳ではありませんが、それでも前に進もうと思えてきました。

最後に、これは私のちょっとした自慢ですが、ここ3年間「人生史上最高の夏」をずっと更新し続けています。

インドのガンジス河で幸せだと叫んだ3年前。
新宿の小田急百貨店で幸せだとつぶやいた2年前。
バングラの農村で幸せだと語り合った1年前。

今年ももちろん「人生史上最高の夏」を狙います。辛いことも含めて最高だったと言えるように。この万博公園に続く坂道を見る度に、「あのときもメチャクチャ楽しかった」と言えるように。

夏、始めます。
もし宜しければ、ぜひご一緒に。

 

あとがき

この時期になると無性にスラムダンクが読みたくなります。
いつもは誰かに借りて読んでますが、いよいよ大人買いしようかと。

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