『人生生涯小僧のこころ』

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photo credit: zilverbat. via photo pin cc

慎さんから勧めてもらった本。

“テツ人”慎さんのブログ:http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/

平成11年吉野・金峯山寺1300年の歴史で2人目となる「大峯千日峰行」満行を果たし、
翌年12年四無行を満行された塩沼亮潤さんの自伝。

大峯千日回峰行と四無行とは?

【大峯千日回峰行】

千日回峰とは、往復48km、高低差1300mの山道を
16時間かけて1日で往復し、合計48000kmを9年間かけて歩き続ける修行。

もし、途中でこの行をやめるときは、左腰に携えている短刀で自身の
腹を切って自害するという厳しい掟がある。

【四無行(しむぎょう)】

千日回峰の先に待つ修行。

四無行とは、九日間、「断食、断水、不眠、不臥(ふが)」
すなわち「食わず、飲まず、寝ず、横にならず」を続ける行。
生きて帰る確率は50%未満という危険極まりない行。

塩沼さんはこの大行を見事に果たされた。
以下、その中でも感銘を受けた箇所を紹介したい。

心に残った7つの言葉

「喜びを得るために生まれてくる」

・行をする意味は、お山で気づいた大自然の理を娑婆世界で実践し、皆様にお伝えすること。

人は苦しむ(行をする)ために生まれてきたのではなく、(その先にある)喜びを得るために生まれてきた。

「実るほど神戸を垂れる稲穂かな」

・母の躾は厳しかったが、それこそが愛だった。
寺においても様々な修行を重ねたが、
最も役にたっている教えは、母の教え。

「行を終えたら行を捨てよ」

・行というものは一切の御利益的な考えはあってはならない。
自分に対する過信は脆いもの。地に足をつけ、あせらず手を抜かず、
一歩一歩歩き続けることが大切。

「砂を噛む」

・修行で最も厳しかった時にとった行為。
限界の先に、母や皆への感謝を思い出した瞬間。

(ミミズとおにぎり)
・非常に厳しい状況下でも道で苦しむミミズを助け、おにぎりを食べれる幸せを噛み締める。
苦しさの中から生まれる喜び、これこそが法悦。

「何のために」

・目的をはっきりさせることが大事。
これがはっきりすると、どんな辛さや苦しさも乗り越えられる。
特に他者の喜びを目指せば、
目標は無限に広がり、心に余裕が生まれる。

「途上でありたい」

修行終盤(973日)の日記で書かれた言葉。
人生最後まで途上でありたい
いつも自分を抑える心を持ち続けたい
人として花でありたい
輝いていたい

この言葉の後に、
“生涯小僧”と書かれる。

「心を込めて」

心を込めて生きるから心が変わり、
心を込めて語るから相手の心に伝わり、
心を込めて行うからみんなが感動してくださる。

本の最後で、
上手でも下手でも心を込めて実践することに意義があるように思う、と書かれていた。

感想

満行し、大阿闍梨(おおあじゃり)と呼ばれる生き仏としてあがめられる塩沼さん。

ただ、その言葉はあくまで少年のように素直で、謙虚で、親近感さえ覚えた。

決して人を美化しておらず、
時に厳しいご意見も交えながら、
それでも人間の尊さと世界の素晴らしさを語られる。

ただ、その道は長く、険しい。

最近、
偉人と呼ばれて相応しい方々にお会いする度に、
自分の小ささと夢までの距離を感じていた・・・。

明日から何をすれば良いのかも分らなくなったが、
この本を読んで随分と心が軽くなった。

“心を込めて一歩ずつ”

今すぐ夢なんて叶える必要はない。
「途上でありたい」と言えるくらい、
険しい道を楽しみたい。

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