退職してちょうど半年が経ちました。
憧れの職場を退職し、大好きなことを仕事にします。 | みんなの扉を開くカギ
職場を変えれば、誰もが必ず通る道です。
しかし、この半年間は想像していたよりも遥かに密度の濃い時間でした。
予想通りだったこともあれば、予想とかけ離れたこともあった半年間。自分の頭の整理と、これから転職・独立・起業などを考えている人たちに向けて、良かったことと大変だったことをそれぞれ3つずつ紹介します。
心が震えるほど良かった3つのこと
この半年間、「辛かったか?それとも楽しかったか?」と聞かれたら、間違いなく「楽しかった!」と即答できます。毎日が発見と驚きの連続で、はじめた海外を旅した高揚感を思い出しました。
なので、楽しかったことを挙げろと言われたらキリがなさそうなので、半年経った今でも心が震えるような喜びを3つ紹介します。
1.仕事に100%に打ち込むことができる
「朝起きてから、夜寝るまで、大好きなことにトコトン打ち込みたい」
これは私が退職を決意した一番の理由なのですが、大好きなことに100%集中できる生活は本当に心地よいものです。
就職活動をしていた時、好きなことを仕事にしてしまうとプライベートの時間がなくなってしまうのではないか、という漠然とした不安がありました。
しかし、いざ好きなことを仕事にすると、プライベートの時間は減るどころかむしろ増えています。正確には、プライベートと仕事の垣根がなくなり、何もかもを仕事に還元できるようになったのです。
もちろん、NGOという特殊な組織形態や、代表という立場によるところもきっとありますが、それを差し引いても好きなことをずっと考え続けることができる状態は、何というか凄く穏やかです。
熱すぎず、覚めないように。この心地よい状態はしっかり守って、いや、攻め続けて行きたいですね。
2.どんな場所でも仕事ができる
ほぼ予想通りであった「場所」の縛りからの解放。これは実際、退職する前から楽しみにしていたことでもありました。
ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、バングラデシュと、どんな国でも仕事ができたことに加え、静岡にある実家で仕事をすることができたのが何よりも嬉しかったです。
先日読んだ『強いチームはオフィスを捨てる』でも書かれていましたが、オフィスがいつも最高のパフォーマンスを出せる場所というわけではありません。
家でまったりしたり、カフェでコーヒーを飲んでいるときの方が良いアイデアや解決策を思いつくことができるという経験は、きっと多くの方がすでに体験していることでしょう。
これを「狙って」できるようになったことが大きな変化であり、特に休暇もかねて関西旅行は心の整理に本当に役立ちました。
これからも取り組む仕事に合わせて、最適な時間や場所を選択し続けていこうと思います。
3.人脈が広がった
これは想像以上でした。
退職する前は土日や平日夜をほぼ全てNGOの活動に当てていたため、そもそも人脈が広がる機会があまりなかったのですが、それでもこの半年間で人脈の広がりは予想以上でした。
私から積極的に会いにいくことができるようになっただけでなく、「会いたい」といって下さる方も一気に増えました。初めてお会いする人からの刺激や学びは本当に大きく、身体が一つしかないのが悔やまれるくらい出会いのチャンスは広がりました。
もちろん働きながらも人脈を広げることはできたでしょう。しかし、貴重な休日を使って外へ足を踏み出す勇気はなかなか出てこないものです。
一方、今の私にとって人と会うことは「仕事」です。こういうと嫌な印象を与えてしまうかもしれませんが、全ての出会いが今の仕事に役立っている自信があり、自分にとっても組織にとっても大きな投資になっています。
これから新しい出会いがまだまだ待っていると思うと、それだけでワクワクしてきます。
やっぱり大変だなと感じた3つのこと
さて、ここからは一転して大変だったことを赤裸々に告白します。
というのも、上で紹介したことはある程度ブログや本を通じてイメージできていたこともでもあったのですが、「大変だったこと」について細かく書かれたエピソードはあまり見かけませんでした。
だから、ここでは出来る限り私が悩んだ壁や葛藤を紹介できればと思います。3つに絞ってお伝えしましょう。
1.誰も何も教えてくれない
前職は、正社員1000人以上、パートタイムスタッフをあわせると1万人以上の組織でした。当然組織体制はしっかり整理されており、一つ一つの決定には、上司の承認が必要でした。
「承認」と書くと語弊があるかもしれません。というのも多くの場合は、部下の間違いを修正して改善点をアドバイすることが「承認」であり、代表になった今、私の行動を「承認」してくれる人は誰もいなのです。
正直にいうと、最初は命令やアドバイスを受けない開放感がありました。自分の好きなようにできるというのは、自由で素晴らしい状態だと思っていたのです。
ただ、そんなに甘くはありませんでした。
レター1枚書くときも、正しい書き方を0から調べる必要があります。そして仲間が困っている時に、最も効果的なアドバイスをどうやったらできるか常に悩みます。
重要な交渉メールを送ろうした時、無意識のうちに昔の上司のメールアドレスをCCに入れそうになったことがありました。相談できる人や責任を一緒に背負ってくれる人が隣にいることが、実はとても心強いことであったことを今になって知りました。
これから独立や起業をされようとする方にぜひ知って欲しいことは誰も何も教えてくれず、全ての責任を背負う必要があるということです。
もちろん自ら足を運べば、相談に乗ってくれる人はきっといると思いますが、何かを掴もうと行動しなければ何も始まらないということを痛感した半年間でもありました。
2.意外と手間がかかる「諸手続き」
恥ずかしい告白になりますが、社会保険と国民健康保険、厚生年金と国民年金の違いをよく理解していませんでした。
なぜ知らなかったのか?それは私の不勉強が大きな理由であるのは間違いないのですが、会社が全てをやってくれていたからです。
保険に限らず、会社は多くの「諸手続き」を代わりに行ってくれます。健康診断、予防接種、給料支払い、あげればキリがありません。
ここでは一つ代表的な例を紹介しましょう。
講演会の依頼が来た時、「源泉徴収はどうしますか?」と質問されたら、どう応えるのがベストでしょうか?
個人で受け取るのであれば10%の差し引きがあり、団体で受け取るのであれば差し引き無しにできます。資金繰りのことを考えると後者の方が良いのですが、こういったことも自分で調べるしかありませんでした。
会社で働いていたときは、規約を見るか、上司に相談すれば一瞬で分かったことが、ずいぶんと時間がかかってしまいました。ここは一つ一つ学んで行くしかないので、これからも少しずつ乗り越えていこうと思います。
3.給料日が地獄
最後は、一番言いたくないことなのですが、やはり一番深刻な問題なので、正直に書きます。
「給料日が怖い」
これは私の言葉ではなく、以前お世話になっていた経営者の方がボソッとつぶやいていた言葉なのですが、その意味が痛いほど分かるようになりました。
会社で働いていた時、給料日は嬉しい日であり、早く来て欲しいと願ったこともありますが、今はその真逆で(自分に対する支払いであっても)出来る限り来ないで欲しいと思ってしまいます。
団体口座から貯金残高が減っていく恐怖を、皆さんは想像できますでしょうか?
私自身、苦しそうなイメージは持っていたものの、そんな生温いものではありませんでした。お金を払えず仲間や顧客の悲しむ顔が思い浮かび、バットで殴られたような痛みをここ半年で何度か味わいました。
私の経営スキル不足が理由であることは百も承知ですが、しかし、最悪のシナリオをしっかり描き、そのリスクを背負う覚悟が必要であると再認識しました。
今回のカギ
最後、一気に重苦しい話になりましたが、もちろん苦労話で終わるつもりはありません。
結局のところ、そんな痛みも全部含めて、この半年間は最高に楽しい時間でした。
最近思うのですが、痛みもある種の「楽しさ」なんだと思います。上手く説明できないのですが、生きていることをより深く実感できる人生のスパイスなのではないかと思うのです。
そう考えると、この半年間は見たことも聞いたこともないスパイスをたくさん味わい、「苦い」といって目に涙が浮かびはしたものの、料理を美味しくする工夫を考えて、ずっとワクワクしているような状態でした。
学び多き半年間。給料は減り、大変なことは増えましたが、この「経験」は何ものにも代え難い財産なのだと、今でもハッキリと言えます。
この状態をまだまだ保てるように、できることなら更に楽しかったと言えるよう、まずは次の節目にあたる「退職して1年間」の日を目指して頑張ります!
告知
最後に一点告知を。
現在、私が共同代表を務めるe-Education Projectは大学4年生限定の国内インターンを募集しています。大変なことはきっと多いですが、人生が楽しくなる「経験」は必ず味わうことができます。
ご興味ある方はぜひご応募検討ください!